ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

「どういう意味だ?」

 エリス国王が困惑の表情で、ガルを見つめる。

「その子供はエリス国の王族の血を引いていない」

(なんですって?)

 シャルロットは驚いて目を見開く。

(王妃様の不義の子供っていうこと?)

 シャルロットは今の今までフリードの父親だと思っていたエリス国王を見る。フリードは黒い髪に黒い瞳をしており、父親であるエリス国王とも同じだ。

「なんという無礼なことを! 酷い侮辱ですわ! ならば、魔法のない異国から嫁いだわたくしが産んだこの子達が魔法を上手く使いこなせることを、どう説明するおつもり? エリス国の王家の血を引いている証拠ですわ」

 憤慨したオハンナが叫ぶ。

「悪いが、それはなんの証拠にもならん。髪や目、魔法の力は父親から遺伝しただけだろう」

 つまらなそうにそう言ったガルはオハンナの背後に視線を移動させる。
 その先には、オリアン卿がいた。
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