ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 シャルロットは自分の手に乗った羽根つきトカゲ──この子はシャルロットが離宮の近くで拾ってペットとして飼っていたものを連れてきた──に話しかける。ガルは不満げに何かを訴えようと口をパクパクとしていた。

「だーめ。ガルはわたくしのお部屋に戻って」

 シャルロットはガルを床に置くと、今度こそ目的の扉のドアノブに手を伸ばす。

(鍵、開けられるかしら?)

 シャルロットは魔法があまり得意ではないが、解錠の魔法を試みる。するとそれは見事に成功し、ドアノブはカチャリと回った。

(ここがエディロン様の私室……)

 私室は二間続きになっているようで、奥の部屋の明かりが灯っているのが見えた。シャルロットは物音を立てないように明かりのほうへと近づく。

(いらっしゃったわ)

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