ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 あのあと、エリス国王は実質的に王位を降り、エリス国王はジョセフになった。

 傍らに神竜を連れた新国王の姿は、国民を熱狂させた。
 多くの国民はあの日王宮の奥であったことなど知らず、ただ単に『第一王子が竜の姿をした神使によって加護を受けたため、国王が交代した』と思っているだろう。

 そして、今回の首謀者であったであったオハンナは元々隣国の王女であったため外交問題などへの影響を考慮して、片田舎にある離宮へと幽閉されている。子供達も一緒だと聞いた。

 エディロンは再び窓の外へと視線を移した。

「ここからでは、何も面白い景色は見えないのではないですか?」

 シャルロットもエディロンの横に行き、景色を眺める。生い茂る木々の葉の隙間から見えるのは本宮の豪奢な外観だ。

「いや、そんなことはない。とても興味深く思っている」
「そうですか?」
「そうだとも。シャルロットのことは、なんだって知りたい。例えば、どんなこどもだったのか、どんな景色を眺めていたのか、どんなものを食べていたのか──」
「いつも俯いて、陰気な姫君として過ごしていましたわ」

 シャルロットはくすくすと笑う。
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