ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 実は、今回の人生はふたりにとって六回目の人生だった。
 摩訶不思議なことに、ふたりとも死ぬと時間が巻き戻り、再び新しい人生がスタートするのだ。

 シャルロットにとって、それはダナース国で夫のエディロンに殺されたあの日から始まった。
 毎回巻き戻るのは母が亡くなって暫くした時期だ。そして、弟のジョセフも大抵二十歳前後で命を落とし、気付くと母が亡くなって暫くした時期、すなわちシャルロットがループするのと同じ時点になっているという。

 最初のループが発生したとき、シャルロットとジョセフは酷く混乱した。取り乱したふたりの様子を見て慌てたお世話係が大急ぎで医師を呼んだほどだ。
 結局、医師は〝母を亡くし、急激な環境変化による一時的な混乱状態〟と判断した。

 しかし、シャルロットは間違いなく過去の人生の記憶があったし、ジョセフも同じだった。だからこれは夢などではないと確信し、ふたりはこの人生をよきものにしようと誓いあったのだ。

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