ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

(2)

    ◇ ◇ ◇

 当分無理だろうと思っていた国王陛下への謁見は、思ったよりもずっと早く許可された。
 指定された日、シャルロットは緊張の面持ちで謁見準備をした。

「じゃあ、行ってくるわ」
「上手く行くといいね」

 意気込むシャルロットに、ジョセフも声援を送る。多くは語らないが、シャルロット同様にジョセフのほうもこれまで五回の人生で色々なことがあったようだ。
 どうにか上手いことできないかと試行錯誤しており、今世では〝ひたすら病弱設定を貫きとにかく目立たない〟という作戦に出ているようだ。

 ちなみに、ジョセフは健康優良児で風邪を引いたところなどシャルロットですら一度も見たことがない。

「うん。頑張ってくるわ」

 出発しようとしたシャルロットは離宮の玄関をあける。
 そのとき、ジョセフに呼び止められた。

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