ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「そうだ。姉さん、ちょっと待って」

 なんだろうと思って振り返ると、ジョセフが近づいてきた。
 ジョセフは片手を上げると、シャルロットのおでこに人差し指を当てる。ふわっと空気が揺れたような気がした。

「今のはなに? 何かの魔法?」

 シャルロットはジョセフに尋ねる。
 ジョセフは過去五回のループを経て、いつの間にか魔法が上手く使えるようになっていた。今世ではジョセフの魔法に何度も助けられたものだ。

「上手くいきますようにっていうおまじないだよ」
「ふうん? ありがとう」

 シャルロットが笑顔を見せると、ジョセフも笑みを漏らす。
 どちらかともなく手を上げる。ふたりの手がハイタッチでぶつかるパシンという音が響いた。


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