ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 ところが、シャルロットが十二歳になったときに悲劇が起きる。母が病死したのだ。

 王妃から嫌われていたシャルロットは弟のジョセフと王宮の外れにある古びた離宮に最低限の世話をする使用人と共に追いやられ、王女としてのまともな生活は送らせてもらえなくなった。

 いつもお腹が空いていたし、ドレスは時代遅れですり切れていた。離宮はずっと誰も使っていなかった古びた建物で、冬は凍えるように寒かった。魔法が使えればなんとかなったのかもしれないが、生憎シャルロットとジョセフはあまり上手に魔法が使えなかったのでどうすることもできずに震えるしかなかった。

(きっと最後は政治の駒となりどこかの有力貴族にでも嫁がされるのね)

 そんな半ば諦めの境地にいたシャルロットに二度目の転機が訪れたのは十九歳の冬の朝だった。
 薄氷の張った水樽で凍えながら顔を洗い身支度を調えていると、真っ白な騎士服を着た父の近衛騎士が迎えに来たのだ。
< 5 / 325 >

この作品をシェア

pagetop