ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
『これはね。幸運を運ぶ髪飾りよ』

 元気だった頃、笑顔でそう言ってこれをシャルロットの髪に付けてくれた母の面影が脳裏に甦る。

『お待たせしました』

 準備を整えたシャルロットは玄関先で待つ近衛騎士の元へ行く。

 案内された謁見室は贅を尽くした豪華な部屋だ。見上げる程に高い天井からはシャンデリアが吊り下がり、円柱状の柱の上下には精緻な彫刻が施されている。

『お待たせしました、国王陛下。シャルロットでございます』
『うむ、よく来たな』

 久しぶりに会う父はシャルロットを無表情に見下ろす。

『今日来てもらったのは他でもない、お前の結婚が決まった』
『結婚ですか』

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