ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「はい?」
「ダナース国王のエディロンだ。入るぞ」

(エディロン様!?)

 シャルロットは動揺した。本日中に謁見の時間を設けるとセザールから言われてはいたものの、自分が謁見室に行くのだとばかり思っていたのだ。

「ど、どうぞ!」

 シャルロットは少し上ずった声で答える。
 すぐに扉がカチャリと開き、ひとりの男性──エディロンが入ってきた。

 その姿を見た瞬間、どきんと胸が跳ねた。

 彼とは、一度目の人生でしか会っていない。会わないようにずっと気を付けてきたから。
 だから彼に会ったのはもうずっと昔のことなのに忘れもしない、そこにいたのは確かにエディロンだった。

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