ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
(変わらないわね)

 シャルロットはエディロンを見つめ、目を細める。
 長身でがっしりとした体躯、精悍な顔つき、意志の強さを感じさせる目元。一目見た瞬間に、懐かしい感覚に囚われる。

 かつてこの男に刺し殺されたというのに、不思議と恨みの気持ちは湧いてこなかった。

 一方のエディロンはシャルロットの存在にすぐに気付いたようだったが、なぜか部屋の中を見回している。

「侍女殿。王女はどこに?」
「…………。王女はわたくしですが?」
「え?」

 動揺したようなエディロンの表情を見て、冷や水をかけられたようにスーッと気持ちが冷めるのを感じた。懐かしさは一瞬で消える。

(彼にも侍女に間違えられるなんて)

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