ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「先日俺がエリス国で見かけた王女とあなたは別人のように見えるが」
「ええ、別人です。陛下がお会いしたのは第二王女のリゼット、わたくしは第一王女です」
「第二王女? ああ、そうか。王女がふたりいるのか……」

 エディロンは口元を押さえてぶつぶつ言いながらシャルロットの足下から頭の天辺までをまじまじと見つめる。

(せっかくエディロン様に会えたのだから、さっさと要望は伝えるべきね。今はふたりきりだし)

 シャルロットがエディロンに伝えたいことはひとつだけだ。

「陛下にお願いがあります」
「お願いだと? 言ってみろ」

 シャルロットは手をぎゅっと握る。これを言ってエディロンは怒らないだろうか。もしかすると、無礼だと切り捨てられるかもしれない。

(でも。どうせ殺されるなら言いたいことを言ってから殺されたほうがいいわね)

 シャルロットは勇気を絞り出すと、スッと息を吸う。

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