ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 目まぐるしく頭を回転させる。下手に嘘をついてもエディロンには見破られるだろう。

「実はわたくし……、結婚というものがとにかく嫌なのです」

 暫く視線を彷徨わせていたシャルロットは、観念するとまっすぐにエディロンを見つめ、そう告げた。
 返事を聞いたエディロンの表情から一気に毒気が抜ける。

「なんだと? ダナース国に嫁ぐのが嫌だからでは?」
「いいえ? どの国でも嫌ですし、相手が誰であろうと嫌です」

 シャルロットは首を横に振る。

 シャルロットは結婚するとその日に死ぬ。
 その法則ははっきりとしていて、過去五回の人生では全部相手が違ったけれど結局同じ結末を辿った。つまり、だれと結婚しても結果は同じなのだ。

「どうかお願いします。なかったことにして頂けませんか?」

 シャルロットは必死で言い募る。

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