ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「ただ、婚約期間は一年が限度だ。それ以上結婚を引き延ばせば、逆に周辺国に妙な憶測を呼ぶ」
「ええ、わかります」

 シャルロットはエディロンを見上げ、大真面目な顔で頷いた。

「それでよければ、約束しよう。あなたは好きなように過ごしてくれ。ああ、俺が協力を求めた際はきちんと協力してほしい」
「もちろんです!」

 シャルロットはこくこくと頷く。

 自分で提案しながらも、心が痛んだ。
 一年以内に政略結婚が不要になるほどに対外的にダナース国の評価を上げる。それは数百メートル先にある的を一発で弓矢で射貫くような話──つまり、実現不可能な無理難題であることをエディロンは承知していた。
 けれど、他に案が思いつかない。

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