ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
シャルロットと話を終えたあと、エディロンはすぐにセザールの執務室に向かった。
「あ、陛下。どうでしたか? そんな高飛車な感じじゃなかったでしょう?」
セザールはエディロンの来訪に気付くと、積み重なる書類の山から顔を出してこちらを見つめる。
「別人だった」
「は?」
「だから、俺が知るエリス国の王女とは別人だったんだ」
エディロンは先の舞踏会で会ったのは第二王女であり、ここに来ているのは第一王女のようだと説明する。
改めて、エリス国から来た求婚への返事を見返す。『娘を嫁がせる』と書いてあるがどこにも王女の名前がない。
「でも、先日の舞踏会はエリス国主催の大規模なものですよね。なぜその王女はそこに参加していなかったんでしょう?」