天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 前世の記憶がある分ミリエラは、同年代の少女よりも大人びている。大人向けの難しい錬金術の教科書もすいすい読めてしまうのは、そのおかげもあるだろう。

 錬金釜にマナを注いで素材を変質、変容させて別の物質に変化させるのが錬金術であるけれど、時に素材とマナが反発して、爆発を起こすこともある。

 単純に、錬金釜は火を使うから危ないというのもあるのだろうが、父がミリエラひとりで錬金釜を使わせないのには、そういう事情もある。

 今日は、音や映像を記録する録画機に使う記録板を作ろうとしているところだ。前世でいうところのホームビデオを撮影するための準備だ。

「パパ、錬金釜に入れたいです」
「わかった──では、少し離れて」

 錬金釜の中に、計った材料を入れると、父はそれを火にかけた。ここから先、マナを流し込むのはミリエラの仕事だ。

 熱くなっている釜に触れないよう、気を付けながら長い棒でかき混ぜる。

(ぐーるぐーる、マナを入れて)

 棒を動かしながら、マナを注ぐ。釜の上に手をかざしてマナを注入する方法もあるけれど、今日は混ぜながらの方がいい。

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