天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 父とミリエラが選んだのは、錬金術師が様々な道具を持ち歩くために使う革張りのケースであった。

 ディートハルトはまだ修業中なので、ここに入れておくような道具は持っていないし、しばらく必要はない。だが、とてもよい品なので大人になってからでも使うことができる。

「私達からの贈り物は、あとで一緒に開けましょうね」
「はい、義母上」

 テーブルには、たくさんのご馳走が並んでいる。

 立食形式のパーティーだけれど、あちらこちらに椅子も置かれていて、好きな場所に座って食べることができる。前回のミリエラの誕生パーティーの時も、同じようにした。

(ディーが喜んでくれてよかった)

 国王夫妻の間に挟まれているディートハルトは、とても嬉しそうだ。

 本来なら、まだ親元で過ごしている年齢だ。いくら大人びているとはいえ、父と離れて暮らすのは寂しいのだろう。

(よしよし、じゃあ、私はイチゴのジャムタルトでも食べようかな)

 今日はディートハルトの誕生祝いだから、もちろん彼の好物がテーブルを埋め尽くしている。

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