天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 いきなりの言いがかりに、皿を持ったままのミリエラの眉間にしわが寄った。

 兄上とはディートハルトのことである。ディートハルトをだましたとは、どういうことだ。

 むっと唇を引き結んだら、相手はそれもまた気に入らなかった様子で、またミリエラの髪をぐいと引っ張った。

「いたあああああっ!」

 ライナスの勢いに負けて、思いきりよろめく。これだけ激しく引っ張られると、ものすごく痛い。頭の毛が半分抜けてしまったかと思った。

「うわああああんっ!」

 中身は大人だと常日頃思っているはずなのに、涙がぼろぼろと出てくる。大人だって、痛いものは痛いのだ。

「いたぁぁぁい! はなしてぇぇぇ! うわあああああんっ!」

 ライナスの手を掴んで、髪から手を外そうとするがうまくいかない。

 またライナスが髪をひっぱり、痛みが襲いかかってきた。大人達のところまでは声が届いていなかったようで、誰も気づいていない。

「お前、なにしてるんだよっ!」

 少し離れたところにいたカークが、ようやく異変に気付いたらしい。

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