天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

（こ、これってどうしたら……）

　ミリエラが大声で泣くようなことがなかったら、こんなことにはならなかったのではないだろうか。責任を感じ、ついおろおろとしてしまう。

「カーク、カーク！　ミリィもう大丈夫だよ！」
「ダメだ、こいつミリィをいじめるから！」

　カークの服を引っ張って、なんとか止めようとするものの、彼は言うことを聞いてくれない。それは、ライナスの方も同じだった。

「兄上を盗ったやつなんだから、どうでもいい！」

　ライナスのパンチが、カークの頬に入った。かなりの勢いである。

「いってぇな！」

　ぐっとライナスの襟首をつかんで、カークがパンチをお返ししようとした時──。

　そっと、ふたりの間に割って入ったのは、本日の主役であった。

「ライナス」

　静かにディートハルトに名を呼ばれ、今の今まで激高していたライナスは一瞬にしてしゅんとする。カークの服を掴んでいた手を離し、身体の両脇に垂らしてぎゅっと握りしめた。

「カーク、君もだよ」
「だって、そいつがミリィを」