天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ライナスは地団太を踏み、首をぶんぶん振って拒んでいる。たぶん、これが普通の五歳の子供だ。

(……仕方ないよね)

 ミリエラの方が少し大人なのだから、ここはライナスに折れてやるべきだろう。

「ディー、ミリィ大丈夫」
「兄上のことをディーって呼ぶな!」

 またもやライナスはミリエラにつかみかかりそうになった。ディートハルトはそんな弟の前に回り込み、がしっと抱きしめる。

「ライナス。暴力は、ダメ。謝って──僕がミリィにディーって呼んでいいって言ったんだよ。ミリィは、僕の大事な友達だ。カークも」
「兄上……僕のこと嫌い?」
「そんなことないよ。ミリィもカークも大切な友達だけれど、僕の世界一大切な弟は、ライナスしかいないじゃないか」

 なだめるように背中に回ったディートハルトの手が、ポンポンとライナスの背中を叩いた。この時になって、ようやく大人達は騒ぎに気付いたらしい。

 真っ先に駆けつけてきたオーランドは、カークの頭にげんこつを落とした。

「カーク、お前な! 暴力はダメだろ!」
「だって、あいつが!」

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