天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「僕も、ごめん。ライナスには寂しい思いをさせてるみたいだ。君達とはいつでも会えるし、今日はライナスと一緒にいることにするよ」

 やはり、ディートハルトは大人なのだ。この状況で、弟のことを気遣うって、なかなかできないと思う。

「ねえ、ディー。それからライナス殿下」

 ふたりに呼びかけながら、ミリエラはライナスの方に手を差し伸べた。

(エリアス、いいよね?)

『ミリエラが、そう言うのなら仕方ない』

 心の中で、エリアスに呼びかける。ぶわぁっと風が吹き抜けたかと思ったら、そこに四本の足をきちんと揃えて座っていたのはエリアスだった。

「な、なんだよお前っ!」

 やはり巨大な猫は怖いらしく、ライナスはディートハルトの後ろに半分隠れるようにしながら、こちらを見ていた。

 ふふんと笑ったエリアスは、尾でパタパタと地面を叩き、それからぐいっと顎をそらせる。

「我は風の精霊王エリアスだ。そこの子供、我をあがめろ、撫でろ」

 あがめろ撫でろと言う要求に、ライナスの目がみるみる大きくなっていく。ゴロンとその場に横になったエリアスは、腹を見せて手足を伸ばした。

「大きい……猫……!」
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