天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　たまたま今までタイミングが合わなかったのだろうが、騎士達の目もエリアスに吸い寄せられている。残念だが、大人には撫でさせてあげないのだ。これは、子供だけの特権。

　ライナスがエリアスに夢中になっているのを見て取ったらしい国王は、この隙にと言わんばかりにディートハルトを呼び寄せた。

「ディートハルト、こちらにおいで」
「はい、父上！」

　ディートハルトを見て、国王は目を細める。彼の成長を喜んでいるのだろう。離れて暮らしていても、親子の情は変わらないらしい。

「しばらく会わない間に、ずいぶん大人になったのだな」
「いえ、父上。僕はまだまだです」

　頭を撫でられて、照れくさそうに笑っている。いつも大人びた言動をすることの多いディートハルトのこんな顔を見るのは珍しかった。

「ライナスは、ディートハルト殿下のことが本当に好きなんですよ。殿下が王宮を去って、とても悲しがっているのです」

　王妃もまた、ディートハルトに話しかける。彼女が膝を折り、腰をかがめてディートハルトと目線の高さを合わせている。

（なんだ、大丈夫じゃないの）