天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 王妃が悪い人ではないのは知っていたけれど、こうやってディートハルトと目の高さを合わせてくれるとものすごい安心感がある。

 以前はしっくりいっていなかったけれど、今の二人なら適切な関係を築けるのかもしれない。

 いずれにしても、ディートハルトが王宮に戻るのはもう少し先になるだろう。今はまだ、父のもとで学ぶことが多いのだから。

「陛下、カークが失礼いたしました」
「あれは、ライナスが悪い。そうであろう」
「そうね。ミリエラ嬢、怪我はないかしら」

 父がカークやオーランドに変わって謝罪の言葉を口にする。いくらライナスが先にミリエラに手を出したとはいえ、王子相手の乱闘だ。

 相手によっては、罰せられるのはカークだったとしてもおかしくはない。けれど、国王夫妻は手を振って父の謝罪を押しとどめる。

「ミリィ、大丈夫よ、王妃様。ちょっと痛かったけど」

 今日のミリエラは、髪をふたつに分け、両耳の上でくくった髪形をしている。

 左側を思いきり引っ張られたのだが、まとまっている分引っ張りやすかったのだろう。

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