天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 半分くらい抜けてしまったような感覚もあるが、大人達の表情を見ている限りは、頭髪は無事だったらしい。

 ぶんと勢いよく首を振ると、わずかにちりちりとした痛みが頭皮に残っているのに気付く。でも、それだけ。

「カークが守ってくれたから、大丈夫」

 カークは悪くないのだと、ここで念押しをしておかねば。

「そうだな、ミリエラ嬢。迷惑をかけた」
「いい。ミリィ怒ってないもの」

 本当はいろいろと言ってやりたいこともあるのだが、今、この場で口にしなくてもいい。それに、いま大切なのはディートハルトをどう祝おうかという気持ちなのだから。

「ディーは、ライナス殿下と一緒にいてあげて。ミリィ、あっちにお菓子の用意をしてくるね。では、失礼します」

 マナーの教師に倣ったとおり、スカートを少し持ち上げて国王夫妻に頭を下げる。

「こんな可愛らしい姫がいればよかったのに」

 と王妃が言うのは聞こえなかったふりをしたけれど、客観的に見れば、今のミリエラはものすごい美少女なのである。

「ライナス殿下、こちらにどうぞ。ディートハルト殿下はこちらに」

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