天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　少し離れた場所に、ふたり分の席を用意する。ディートハルトも弟と一緒にいることを選んだようだし、今日は邪魔しないでおこう。

「ミ、ミリエラ……我を助けてくれ」

　珍しくエリアスが弱音を吐く。ライナスはエリアスが気に入ったらしく、ずっとモフモフなでなでしていたようだ。

　心なしか、ふさふさの尾がしゅんとしぼんでしまっているようにも見える。

「子供というのは、本当に大変なものなのだな……ミリエラやディートハルトが特別だというのがよくわかった」

　カークの名はここには上がっていないが、カークもある程度は心得ている。ミリエラやディートハルトを見習い、エリアスに対する時には丁寧に接しているからだ。

「普通の子供は、あんなものだと思うよ」
「本当か……！」

　今まで、エリアスは子供らしい子供の相手をしたことがなかったのかもしれない。

　ライナスは遠慮なくエリアスの腹に飛び込み、しっぽを引っ張り、耳を摘まみ──とやりたい放題だったようだ。

　エリアスがぐったりしているのも、納得である。

「今後は、あいつがいる時には遠慮するぞ……！」