天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 だが、精霊眼を持つ者は、精霊を現実のものとして見ることができるのである。

 とはいえ、この世界、ありとあらゆるものに精霊が存在している。

 大切に長い間使われていた道具にも、精霊が宿ることがあるくらいだ。前世でいう付(つく)喪(も)神(がみ)的な存在なのだろうとミリエラは解釈している。

 そんなわけで、どこを見ても精霊の姿が目に入ってくるようでは、視界が賑やかすぎる。

 というわけで、エリアスから、精霊が見えなくなるように普段はスイッチをオフにする方法を教えてもらった。

 今もそうしているはずなのに、炎の中で翼がパタパタとはためいたような。

(……気のせいね)

 そう判断して、ミリエラは目の前の作業に戻った。

 錬金術の天才と言われているとはいえ、まだまだ経験不足だ。ちょうどいいタイミングを見計らうのが難しい。

「パパ、もういいかな?」
「そうだね、そのくらいで」

 父に確認してもらったところで、マナを注入するのをやめる。ふぅと息をついて手で額の汗をぬぐおうとしたら、そっとハンカチが触れた。

「パパ、ありがとう!」

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