天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 普段は、こんなに噛まないのに、本当にどうかしている。たぶん、ライナスの前では粗相をするわけにいかないと気を張っているのだろう。

 馬車に乗り込んでからも、居心地の悪さは変わらなかった。

 王と王妃の間に挟まれて座ったライナスは、隙あらばミリエラの方をじろっと睨んでくる。

 ミリエラは、ディートハルトと父に挟まれて座っているため、真正面がライナスなのだ。

 顔を上げればこちらを睨んでいるライナスと目が合ってしまうのだから、居心地の悪さは最高潮である。

「……ミリィ、場所変わる?」
「それはそれで、ライナス殿下が怒ると思うの」
「ひそひそ話するな! 僕を仲間外れにするな!」

 ディートハルトがひそひそささやいてくるのに、同じくらいの声で返していたら、ライナスが怒ってしまった。

(仲間外れにしたつもりは、なかったんだけど)

 カークを仲間外れにしてしまった時のことを思い出す。同じ失敗は、繰り返さない様にしなくては。

「ごめんなさい、ライナシュ殿下」

(ここは、私が大人にならなくちゃね)

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