天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　自分が、同じ年頃の少女のように振る舞えているかどうかだけが不安だ。自分の感覚が普通でないのは理解している。父に迷惑をかけることになるのは避けたかった。

「今日は殿下がいらしているだろう。庭に用意させるから、お茶は皆と一緒の方がいいのではないかな──本を持っておいで」
「そうする！」

　ディートハルトは、父の弟子でもあるけれど、王族として学ばなければならないことはきっちりと学ばなければいけない立場でもある。

　今日、彼が侯爵邸を訪れているのは、カークと剣術の稽古をするためであった。それが終わったら、自由時間。

　彼らと一緒にお喋りをするのもきっと楽しい。

　子供でいられる期間は長くないことをミリエラは知っている。だから、子供のうちに楽しめることは全力で楽しむべきだ。前世が不幸だった分、今のミリエラは貪欲なのだ。

「今日は、なんの本にしようか」
「アメルティナ・レイヴィスの伝記がいい！」
「──またか。ミリィには少し早いと思うんだが」
「錬金術の基礎を作った人だもの。ミリィも彼の生涯について知っておくべきだと思うな」