天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　アメルティナ・メイヴィスは、錬金術の基礎を作り上げた人物として名が伝わっている。

　エリアスに教えてもらったところによると、彼も精霊眼の持ち主だったそうだ。

　そんなわけで、ミリエラは一方的に親近感を持っているし、素材集めに人生の大半を費やした彼の生涯は冒険譚(たん)でもあってわくわくとしてしまう。

「いいでしょ。ミリィ、パパにご本を読んでもらうの好きよ」
「ミリィにはかなわないな。わかった。ではそうしよう」

　ミリエラが書棚から取り出したのは、分厚い革表紙の本であった。様々な魔物との戦いも生き生きと描かれていて、伝記でありつつも娯楽小説に近い愉しみ方もできる。

　印刷されている字も小さなものだし、難しい単語がたくさん使われている。

　三回も読んでしまったほどのお気に入りだ。父の声で読み聞かせをしてもらえるなら、また別の楽しみがある。

「……読んで！　アメルティナが、巨大なクラーケンをやっつけるところ！」

　アメルティナの生涯は、魔物との戦いでもあった。錬金術の基本的な素材には、さまざまな魔物の魔石や身体からとった部位が使われるからである。

「よいしょっと」