天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 短い髪形の人も、毛先を遊ばせている人がずいぶん増えたような──むしろ、ストレートのままの人が珍しいかもしれない。

(……そっか)

 その景色を見て理解した。馬車に乗らず、歩いているのは貴族ではなく庶民が大半だ。

 庶民は毎朝コテを使って髪を巻くのは難しかったけれど、ホットカーラーならば冷めるまでの間は他のことができる。貴族の女性達の流行が、もうここまで来ているというのか。

(そう言えば、魔道具職人さん達もずいぶん忙しいって言ってたし)

 ホットカーラーはもう作成手順を確立して、グローヴァー領の魔道具職人に制作を依頼してある。出来上がったものは、父と取引のある商会を通じて売買している。

(去年も今年も忙しいって、いいことよね)

 グローヴァー領に魔道具職人が多いのは、仕事に困らないからという理由もある。

 昨年、今年と彼らはずいぶんいい稼ぎになっただろう。彼らの収入が増えれば、領地に入る税収も増えるというわけで、領主一族としては万々歳である。

 王都の侯爵邸に到着した時には、母方の祖父母であるハーレー伯爵夫妻は、先に来て皆の到着を待っていた。

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