天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
重たい本を運んで行ったのは、窓際の日当たりのいい場所に置かれたソファ。
そのソファは、以前は父が母の記録映像を繰り返し見るために置かれていたものだけれど、今では親子の団らんの場になっている。
「……ミリィ」
「なぁに、パパ」
「いや、いいよ。さあ、本を開いて」
いったんテーブルに本を置き、父の膝によじ登る。
そこから手を伸ばして本を取り上げた。大きな本は、ミリエラの膝で支えなければ、持っているのも難しい。小さな手がページを繰っていき、目的の場所に到着する。
「パパ、ここ。ここから読んで」
「わかった。では、始めるよ──『その日、海は珍しく荒れていた』」
父の声が、ゆっくりと読み進めていく。低くて穏やかな声。先日、王都で響かせたような重低音とはまったく違う優しい声。
ミリエラは印刷されている文字を目で追うのではなく、父の声に耳を傾ける。父のお腹に背中を預けるようにして。
のんびり過ごす穏やかな時間。一心不乱に新しい魔道具の開発に取り組むのも悪くないけれど、こういう時間はこういう時間で好ましい。
(パパ、再婚はしないのかな)
そのソファは、以前は父が母の記録映像を繰り返し見るために置かれていたものだけれど、今では親子の団らんの場になっている。
「……ミリィ」
「なぁに、パパ」
「いや、いいよ。さあ、本を開いて」
いったんテーブルに本を置き、父の膝によじ登る。
そこから手を伸ばして本を取り上げた。大きな本は、ミリエラの膝で支えなければ、持っているのも難しい。小さな手がページを繰っていき、目的の場所に到着する。
「パパ、ここ。ここから読んで」
「わかった。では、始めるよ──『その日、海は珍しく荒れていた』」
父の声が、ゆっくりと読み進めていく。低くて穏やかな声。先日、王都で響かせたような重低音とはまったく違う優しい声。
ミリエラは印刷されている文字を目で追うのではなく、父の声に耳を傾ける。父のお腹に背中を預けるようにして。
のんびり過ごす穏やかな時間。一心不乱に新しい魔道具の開発に取り組むのも悪くないけれど、こういう時間はこういう時間で好ましい。
(パパ、再婚はしないのかな)