天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 カークの年齢では普通、王宮の騎士から直々に稽古をつけてもらえる機会などあるはずもない。特別な学びは彼のためにもなる。

 ついでだからと、オーランドもちゃっかり王宮騎士団の訓練に紛れ込んでくるらしい。

 オーランドはグローヴァー領一の騎士であり、彼にかなう人などいない。

 彼の実力に近い人達と剣を合わせておかないと、実戦の勘が鈍ってしまうのだそうだ。

 というわけで、今日のミリエラは父を独り占めである。白いブラウスにピンクのワンピースを重ね着して、肩からかけたのは父から五歳の誕生日に贈られた鞄。

「パパ、どこに行く?」
「そうだな、ミリィはどこに行きたい?」

 たずねたら、真正面から問い返された。ミリエラはうーんと考え込んだ。

 基本的に父から愛されているだけで満足しているために、父とどこに行きたいとかなにが欲しいとかいう欲望に関してはとても薄い。

「パパ。グローヴァー領では見られないものって、なにがあるかな?」
「そうだな──たいていのものは、領地で揃ってしまうからな」

 と、父もまた考え込んでいる。

< 164 / 279 >

この作品をシェア

pagetop