天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 軽快な音楽に合わせて、ふたつのボールを放り投げたり、背中で受け止めたり。

 ──かと思えば、同時に高く放り投げられたふたつのボールが空中でぶつかり合う。思いがけない方向に飛んでいくのではないかと、見守っている人達は息をつめた。

 だが、ぶつかり合ったボールは綺麗な弓状の線を描き、演者の手にぴたりと落ちる。わぁぁっという歓声があがって、演者は見物客達にぱちりとウィンクした。

 それからどこから取り出したのか、十近いボールを一気に空中へと放り投げる。

 器用に操っていたボール達が空中でひとつの大きなボールになったかと思えば、そのままポーンとはじけ飛ぶ。中は空っぽだった。

(……手品もするんだ!)

 ジャグラーはジャグリングだけではなく、手品も心得ているようだ。どちらが本職なのかはわからないけれど、見ていてものすごくわくわくした。

 演技を終えたジャグラーは、ミリエラ達の方に頭を下げる。惜しみなく拍手をするだけでは物足りなかった。

「パパ、コインをください」
「……行っておいで」

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