天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 素敵な芸を見せてもらったのだから、お礼はしなくては。ちょこちょこと石段を下りていき、コインを三枚、地面に置かれていた帽子の中に入れる。

「ありがとうございます、お嬢様」
「とっても、面白かったよ。ねえ、パパ!」
「──ああ。依頼をすれば、王都にある屋敷に出張してもらえるかな? それと、王都以外の場所にも」

 ミリエラがかなり気に入ったのを察したらしい父は、すかさず演者を招く手配を整え始めた。

(おじい様とおばあ様にも見てもらいたいし、カークにも! ディーも喜ぶかな、喜んでくれたらいいな)

 もしかしたら、ディートハルトはもう見たことがあるかもしれない。なんて思いながら、ミリエラは父と演者の話が待つのをおとなしく待っていた。

(……鳩がいる)

 この世界でも、手品に鳩を使うのはよくあることらしい。

 ポッポと話しかけてくる鳩がなにを言っているのか、ミリエラにはわからない。けれど、生き物に間近に接する機会というのはめったにないから、見ているだけで楽しい。

 少なくとも、エリアスやフィアン、眷属達をこういった動物と一緒にしてしまうのは違うだろう。

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