天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 よく慣れているのか、籠の中にいた鳩は、こちらに向かって首を伸ばしてくる。じっと見つめていたら、またポッポ、クルックルーと鳴いた。

(……動物の言葉がわかればいいのに)

 鳩は、ミリエラになにを話そうとしているのだろう。錬金術で、言葉を通じ合わせることはできるだろうか。

 話が終わったらしく、ぺこりとこちらに頭を下げたジャグラーは、荷物をまとめて引き上げていく。父とジャグラーが話をしている間に、次の演者が準備を始めた。

 この階段広場は、多数の人が集まる場所であり、ここで認められれば大劇場に招かれたり、貴族の屋敷に招かれたりすることもあるそうだ。ちょうど、今父がしたように。

 そのため、この広場の使用については、届け出をして、順番を守る必要がある。次の演者は、楽器を演奏するようだ。簡易的な椅子が持ち出され、楽器を手に音階の調整を始めている。

 鳩と交互にそちらの様子をうかがっていたら、ポンと肩に手が置かれた。話が終わったようだ。

「グローヴァー領まで来てくれるって?」
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