天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
こうやって、父とふたり、多数の人に紛れて街を歩く日が来るなんて夢みたいだ。
(……今のは、間違い。紛れられてない、よね)
どうしたって、父の容姿は隠しようがない。ミリエラも、将来は絶世の美女になること請け合いの美幼女だ。
ちらほらと、「可愛い子ね」「お父さんかしら、お兄さんかしら。素敵」「子連れじゃなかったら、声をかけるんだけど──」なんて、すれ違う人達がひそひそとささやき合うのが聞こえてくるほど。
(うん、紛れることはできていないな!)
銀髪に青い瞳の父。ストロベリーブロンドに青い瞳のミリエラ。地味ではあるが、仕立ての良い服に身を包んでいて、父の上品な雰囲気は隠しようがない。
すれ違う人達がふたりの顏から目を離せなくなるのはむしろ当然なわけで。
それだけではなく、父の表情が昨年と比べたら明るくなっていると言うのも目を引き付ける要因だろう──特に若い女性の。
なにせ、立っているだけで光り輝いているように見える。後光を発する人間が、実在するとは思ってもいなかった。
「まあ、侯爵様。街でお目にかかることができるとは思っていませんでしたわ」