天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 不意に声をかけられ、父もミリエラも足を止める。声をかけてきたのは、二十代前半と思われる女性であった。

「──これはこれは、ラント伯爵令嬢」

 父は、軽く頭を下げたけれど、全身から「関わり合いになりたくない」というオーラを発している。

(……パパ目当てってことね)

 ミリエラも臨戦態勢に突入した。

 父とミリエラの邪魔をするというのなら、徹底的にあらがわせてもらおう。父を独り占めできるのは、娘と言えど貴重な機会なのである。

「もし、よろしければご一緒にお茶でもいかがですか? お嬢様も一緒に」

 ミリエラを邪魔者扱いしなかった点については、よしとしよう。若い女性の中には、ミリエラを露骨に邪魔者扱いする人もいた。

 もっとも、父のミリエラに対する溺愛ぶりが広まるにつれ、ミリエラを粗略に扱うのは悪手だという情報もあっという間に広がったらしい。

 父が欲しければ、まずミリエラを篭絡しなければと考える人も多いのだ。先日、王宮のパーティーで何度お菓子を渡されそうになったことか。

< 174 / 279 >

この作品をシェア

pagetop