天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「ディーも、楽しいことがいっぱいできたらいいのにね。我慢しないといけないこともいっぱいある──」
「だから、領地に来てもらうようにしたんだ。グローヴァー領でなら、殿下も心おきなく見物できるだろうから」
「そっか! 頭いいね、パパ! ニコラにも見てもらえるし!」

 機嫌が急上昇したことに安堵する。

 ディートハルトは我慢しなければいけないことが多いと、ミリエラと同年代の子供が気づくことができるだろうか。

 親に言い聞かされれば理解するかもしれないが、ミリエラは誰に言われるまでもなくディートハルトは我慢しなければならないことが多いと気づいている。

(だから、王族には嫁がせたくないんだ──)

 先日、王からの申し出をぴしゃりと断ったのには、そんな事情もある。

 もし、王族にミリエラが嫁ぐことになったなら。今以上にミリエラも難しい立場に置かれることになる。ミリエラが望むのであれば後押しをするつもりはあるが、今、決める必要なんてない。

 ──それにしても。

 ラント伯爵令嬢にも困ったものだ。

 以前からずいぶん熱心に声をかけてくるとは思っていたが、毎回丁重にお断りしていた。

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