天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 彼女の方にも事情はあるだろうが、ミリエラとの時間を邪魔されるのは困る。

(──近いうちに、手は打たなければならないな)

 ミリエラと繋いでいる方の手に、きゅっと力をこめる。不思議そうな顔をして、ミリエラはこちらを見ていた。

 

 ◇ ◇ ◇ 



 一日王都観光を楽しんだ翌日。父は、王宮へと出かけて行った。

 今回は会議に出席するためなので、ミリエラは留守番である。父に頼めば王宮に行くことはできるし、きっとディートハルトも歓迎してくれるだろう。けれど、そうするつもりはない。

(ライナス殿下との時間を邪魔するのは申し訳ないもんねぇ……)

 ライナスが、どれだけディートハルトを大切に思っているのか、領地で顔を合わせた時にしみじみ実感した。そこに割って入るのは気が引ける。

 カークは、騎士達と一緒に剣の訓練に参加しているから、やはりこの場にはいない。

 ディートハルトとニコラに手紙を書くと、他にすることもなくなってしまった。

(……編み物、練習しようかな)

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