天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「うん! クラーケンの魔石は、結局なにに使うのがいいんだっけ?」
「それは、自分で調べてごらん。アメルティナが見つけた使い方より、もっと適しているものがあると、今は研究結果が出ているからね」

 六歳の娘に研究結果を調べろと言うのも酷な話ではあるが、ミリエラならできるということを父は確信している。ミリエラも、父にそうやって信頼されるのが嫌ではない。

「──そうする!」
「その前に、記録板を完成させようか。そろそろ粗熱が取れた頃だからね」
「はぁい」

 こうやって、父と共に過ごす時間は、あとどのくらい残されているのだろう。ふとした瞬間訪れるそんな不安からは、意識をそらすことにしている。

 もし、ミリエラの前世のことを父が知ったら、今のように愛してくれるだろうか。

 前世のことを父に言わないのは、話してもどうしようもないというだけではない。ミリエラが、その恐怖から逃げているだけでもある。

(……ううん、今はそんなことを考えている場合じゃない)

 錬金釜から取り出し、粗熱が取れた素材を、今度は手でこねていく。しっかりとこねながら、もう一度マナを注いでいく。

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