天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「風の精霊が寒がっていたら、それはそれでどうかと思うよ?」

 風の精霊王と火の精霊王が側にいるというのに、ミリエラはまったく緊張していない。エリアスに背中を預けるようにして、編み針をせっせと動かす。

 もうちょっと上達したら、もっといろいろな編み方を試すことができるのに。

(……まずは、地道に練習練習っと)

 父のマフラーを編めたなら、次はミリエラ自身の分を編もう。

 父と、お揃い。前世では家族とお揃いの品を持つことなんてなかったから楽しみ。

 編み針を一心に動かしていると、どんどん夢が大きくなってくる。

 モチーフを繋いで、勉強部屋のテーブルクロスも作りたいし、仕事部屋の棚に敷物を作るのもいい。

「──お嬢様」

 けれど、困った顔をして至福の時を破ったのは、王都の屋敷で雇っているメイドだった。

「お客様がお見えになっております」
「お客様? 今日は、誰とも約束していなかったはずだけど。パパのお客様?」
「いえ、それが……ミリエラお嬢様に、と」

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