天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「侯爵様と? そうですね。私と結婚したら、前の奥様のことを忘れられるように、全力でお支えします。もちろん、ミリエラ様のことも、大切にいたしますわ。自分の娘のように」
「ブッブー!」

 ミリエラの口からは、ダメ出しの声が漏れた。いきなり、ミリエラがダメだと思っているところに、彼女は踏み込んできた。

「今のはアウト! お帰りください、玄関はあちらです」

 相手がそう出てくるのならば、ミリエラからはもうなにひとつ言う必要はない。ソファから、ぴょんと飛び降りたら、相手は激高した様子だった。

「どうして? なにがいけませんの? あなたのことも大切にすると! 前の奥様を忘れさせて差し上げることのなにがいけないの? 御父上の幸せを邪魔しようというの?」
「あのね、ラント伯爵令嬢」

 床にすとんと降りたミリエラは、深々とため息をついた。意識して、実年齢よりも大人びて見えるような表情を作る。

「父に幸せになってほしいと考えているのは嘘ではありません。でもね、そのために亡くなった母を忘れさせる人は必要ない。母を大切に想っている父を丸ごと受け入れてくれる人じゃなきゃ」

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