天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
(……これって、意外と大変なのよね)

 ミリエラの手は小さいし、素材はかなりの量がある。まんべんなくマナを注ぎながら充分こねていくというのもまた重労働だ。

「──できた!」
「では、ここから先は私が。刃物はまだ危ない。離れていなさい」
「はぁい」

 父の邪魔にならないところまで後退し、じっと手元を見つめる。

 ミリエラがこねた素材を取り上げ、型にセット。余分な部分はそぎ落としてから、定規を当ててまっすぐに切り取る。

(……こういう時のパパは、格好いいなあ)

 唇をきゅっと結んでいる父の真剣なまなざし。もともととても優美な容姿の持ち主だから、そうしている様子は絵画にして残しておきたいほど美しい。

 父は、切り取った板を、音声や映像を記録するための記録機にセットしてミリエラに手渡した。今日はここまでということだ。

「パパ、ミリィ、ふたりのところに行ってくるね!」

 ちらりと父の目が、壁にかけられている時計に向かう。

「あと三十分ほどで終わるはずだから、邪魔はしないようにしなさい。終わる頃合いを見計らって、いつもの場所にお茶を用意させておく」
「はぁい!」

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