天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 彼の認識は、「大好きな兄上をグローヴァー領に連れ去られた」くらいのもの。まだ、五歳の子供にそれ以上を認識しろというのも無理な話だ。

 大人達の事情を汲むことができるミリエラと、自分で考えてそう決めたディートハルトが例外中の例外。カークだって、本当のところはよく理解していないに違いない。

 納得はしていないけれど、離れて暮らさなければならない兄弟のためにミリエラができること。

(お手紙だと、ちょっと時間がかかり過ぎるんだよね……)

 王都とグローヴァー領の往復には、馬車で三日程度。

 馬を変えながら全力で突っ走ればまあ一日で来られなくはないが、乗り手にも馬にも負担がかかる。

 緊急事態ならばともかく、ディートハルトとライナスの文通にそこまで時間をかけられるはずもない。手紙を受け取ってすぐ返事を書けるわけでもないし、どうしたって時間差が生じてしまう。

(電話、みたいなものがあればいいんだけど……パパに相談してみようかな)

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