天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 詳しく聞いてみれば、父のいう通信機と言うのは、どうやら前世でいうところのラジオに近いもののようだ。

 音声を発するのは発信装置から、音声を受け取るのは受信装置で行うそうだ。

 発信装置の発する特定の周波数にあわせれば、受信装置を持っている人は誰でも受信できるが、聞くことができるだけ。お喋りができるわけではない。

「でも両方で発信機と受信機があればお喋りできるんでしょう? 皆、買えばいいのに」

 だが、そうしないのにはそうしないだけの理由があった。

 ミリエラが通信機の存在を知らなかったのは、普及していないという一点にある。発信側の装置を作るのに、ものすごく高価なスカイドラゴンの魔石が必要となるのだ。

 スカイドラゴンとは、名前の通り空を生活の場としているドラゴンである。地上に降りるのは、三か月に一度、一週間近くの眠りをとる時のみ。そのため、退治して魔石を得るのは珍しく、スカイドラゴンの魔石は非常に高い値となってしまう。

 通信機が普及しない理由は材料費が高くつくだけではなく、その作成に非常に高度な技術が必要となるからというのもあるらしい。

< 193 / 279 >

この作品をシェア

pagetop