天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 王国でも、王宮からの緊急通達を迅速に行うために王宮と各地方の主要都市を治める領主の屋敷に用意されているだけなのだそうだ。

「ミリィが欲しかったのは、ちょっと違うな」
「では、ミリィが欲しかったのはどんなものなんだ?」

 父にどう説明しようかと、悩み始めた。

(電話って概念がそもそもこの国にはないもんね……!)

 ふと周囲を見回すと、机の上におかれている紙が目に入った。それをくるくると丸めて筒を作る。

「パパ、こっち側に耳を当てて」
「……こうか?」

 父が片方の端に耳をつける。ミリエラは、もう片方の端に口をつけてささやいた。

「パパ、聞こえますか」
「聞こえているが……」

 まだ、ミリエラがなにをしたいのか父にはよく伝わっていないようだ。

「パパも、今のやって」

 今度は父が筒に口を寄せ、ミリエラが耳を当てる。

「これが君のやりたいこと?」

 筒ごしにそう問われ、くすくすと笑う。何往復かしてから、ミリエラは、広げた紙を元の位置に戻した。

「わかった気がする。特定の人と話がしたいんだね」
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