天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「そう。遠く離れた人とやりたいの。王都とグローヴァー領くらい。パパが言ってた通信機みたいに、受信機を持ってる人誰でも聞こえるんじゃなくて、パパとミリィだけに聞こえるようにしたい」
「──なるほど」

 紙筒を使ったことで、父にもやりたいことがより明確に伝わったようだった。

 声を届けるだけなら、風属性の魔石でなんとかならないだろうか。

 相手を絞ったら、スカイドラゴンの魔石のような高価な材料を使わなくてもすむのではないだろうか。

「音声を届けるだけなら、難しくない──気がする。では、錬金術事典を持っておいで」
「はい、パパ!」

 なんと、父との共同作業である。上ったばかりの膝からぽんと飛び降りると、ミリエラは書棚から錬金術事典を引っ張り出した。

「もともとひとつだった魔石を分割した場合、他の欠片の存在を察知しやすいんだ。魔物を退治する人達は、ひとつの魔石を分割したものを互いに身に着けていたりするんだよ」
「へぇ」

 魔物退治は危険な職業だ。例えば、騎士団では全員にひとつの魔石から作られた素材がはめられ、名が記されたプレートが配られるそうだ。

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