天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 光を出したり、音を出したりすることも考えたけれど、夜こっそり使うことを想定してバイブレーション仕立てにしておいた。ミリエラはできる子なのである。

 受信側が通話を受けられる状態の時は、青い石にマナを流し込めば話をすることができる。無理な時には、本体に反対側の手で触れればいい。これは、通話を終了する時も同じだ。

(喜んでくれたらいいけど……どうかな)

 兄と弟。離れて暮らさなければならないふたりは、お互いを大切に想っている。これが、彼らの気持ちをより強く結びつけることになればいいが。

 グローヴァー領に戻る前に、一度王宮に上がることになる。

 そのタイミングでディートハルトに渡しておこう。彼ならきっと、ライナスに上手に言って渡してくれるはずだ。



 ◇ ◇ ◇



 もっと、強くならなくては。

 このところ、カークが熱心に剣術の稽古に取り組んでいるのは、その一心からである。

 最近気づいたのだが、ディートハルトは頭がいい。そして、ミリエラはもっと頭がいい。ふたりの会話には、カークの知らない単語が紛れ込むことがしばしばある。

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