天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　家族の縁に薄かった父は、自分が呪われているせいで妻を失ったのだと、呪いに巻き込まれないようミリエラを遠ざけた。

（……でも、今は、愛されているから幸せよね）

　父とミリエラの間にあったわだかまりが解け、ようやく一緒に暮らすことができるようになったのは昨年のこと。以来父のミリエラに対する溺愛ぶりは加速する一方である。

　グローヴァー侯爵家は、代々優れた錬金術師であり、多数の魔道具を世に送り出してきた。

　今日王宮に来ているのは、招待状を受け取ったからだが、ついでに魔道具の売り込みも行う予定だ。高名な錬金術師である父の作った素材や魔道具は、王都でも引く手あまたなのである。

（それにしても、パパに話しかけたい人はずいぶん多いのね）

　熱心に話しかけてきた男性は、父の発明した魔道具を購入したいらしい。詳しいことはまた後日改めてと言い残して、父に一礼してから去っていく。

「ディートハルト殿下にご挨拶に行こうか？」
「うん！」