天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 家族からミリエラを取り上げることはせず、同じ屋敷に住ませてくれる。一緒に勉強もさせてくれるし、剣術の稽古用の剣もくれた。

 そんなわけで、あっという間に侯爵はカークの中でいい人に格上げになったのであった。

『ミリエラ様は、あなたが守らないといけないのよ』

 と、何度も母から言い聞かされた言葉。人によっては、それを呪縛と思うのかもしれない。

 ──けれど。

 母の言葉は、カークにとっては、呪縛ではなく道しるべだった。

 妹のように大切な存在だから。

 ミリエラをずっと守っていくのはカークの役目だから。

 錬金術の才能に目覚めたミリエラと、同じ道を歩むことはカークにはできない。神は、その素質をカークには与えてくれなかった。

 だから、カークは剣を磨くのだ。

 ミリエラは強い。

 ミリエラは賢い。

 そして、ミリエラは精霊達に愛されている。

 もしかしたら、カークがミリエラの側にいなくても、誰かがミリエラを守ってくれるかもしれない。

 だけど、そんなことはどうだっていいのだ。

< 201 / 279 >

この作品をシェア

pagetop