天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ミリエラの方が大人になって対応しなければならないとわかっていても、実際にライナスと顔を合わせるのは気が進まなかった。

(……エリアスとフィアンがいればどうにかなる……かな……)

 と、自分に言い聞かせる。

 ミリエラの方は、ライナス個人を嫌っているわけではない。

 兄を奪われたと思っている以上、ライナスと親しくなるのは難しいだろうと気が重くなっているだけで。

 とはいえ、これもまた貴族の義務。気が重いからと言って、逃げるわけにもいかない。相手が五歳の子供なら、なおさら。

 カークは、今回は屋敷で留守番である。それもまた、苛立たしいといえば苛立たしい。カークはミリエラの親友なのに。

 ミリエラだってわかってはいるのだ。本来王宮にはまだ出入りできる身分ではないのだから、ディートハルトがカークを招待してくれるいつもが例外。

(そう言えば、ラント令嬢、どうしたのかな)

 もう二、三回押しかけてきてもおかしくはなさそうな雰囲気だったけれど、結局あれ以来一度も来ていない。

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